自殺において、亡くなった本人だけではなく、遺族にとって大きな負担がかかることがあり、そんな遺品整理の現場となった一件を紹介したいと思います。
そのマンションに住んでいたのは僅か25歳の男性でして、職業は分かりませんが、高級マンションに住んでおり外車を乗り回していたようで、部屋のなかはIHクッキングヒーターなどの最新電化製品が並べられており、どこかの経営者でもなく投資で成功したわけでもないので、どうしてこのように裕福な生活ができたのかは想像できません。
なにかで大金を手にして贅沢な生活が当たり前のように続くと、その暮らしを維持したいと思うようになり、鬼のようにお金を求めて自分がなんなのかわからなくなって、本来の自分を見失ってしまうことは、実際にあることなのです。
遺品整理の見積に立会った父親は、工務店のサラリーマンをしており、母親は専業主婦と言うどこにでもいそうな夫婦で、状況された両親を息子さんが住んでいたマンションのへ連れて行くと、本当に息子がこんな立派なマンションに住んでいたのかと目を丸くしていました。
睡眠薬を飲んでから手首をカッターで切った事は、前もって知らせを受けていたので予想はしていましたが、部屋のいたるとこりに血痕がついていましたので、この部屋を両親に目せることが良いのかわからなかったので、父親だけ先に見てもらってから判断してもらうことにしたのですが、部屋の隅に立ち尽くした父親は言葉を呑み込むように、どの衝撃の度合いは私には苦しいほど分かりました。
目を真っ赤にした父親は30秒ぐらいしてから部屋をでていき、あした遺品整理の作業をある程度終わらせてから、改めて部屋に入って形見や貴重品を分けられることを勧めました。
私の提案に賛成してくれたので、翌日両親を部屋の中に入ってもらったのですが、そこでも更に悲劇が待ち受けており、室内に残されていた書類などを見て、父親が1通の督促状をみて、これは150万円の借金があるということですよねと、声を震わせて聞いてきます。
父親の顔を見ながら質問に答えるのは辛くてたまりませんでしたが、そうかも知れないと言ったのですが、両親の心中を察すると逃げ出してしまいたくなりました。
それから借金だけではなく、マンションは自殺物件になるので、多額の損害賠償金をマンション管理会社から請求される可能性もありますが、さすがに今この状態で両親に言えるはずもなく、家賃の滞納もあったらと考えると何も声に出すことは出来ませんでした。
唯一、私に出来ることといえば遺品整理の料金を安くすることくらいだったので、消臭や商事などの料金は頂かず、遺品整理のみの代金を頂きました。
葬儀の支払いも分割にしていたところを見ると、実家は裕福ではないことは分かりますし、自殺したことで失われてしまうのは命だけはないことが痛いほど分かります。

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